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あとがき・参考資料
実例C:走り
キャラクターアニメーションの基本その3。技術的には“歩き”を応用できる部分が多い。ただ、“歩き”よりも単なる中割で済まない部分も多い。

※このセクションの前提として原画は下の様なポーズとしている。もちろん違うポーズが原画の場合もあるが、管理人の経験上、おおよそ8割以上がこのポーズを走りの原画としている。

走りの原画ポーズ

中2枚の走りは“走り”じゃない?
数年前、ホンダの人型ロボット“ASIMO”が(人に近い)走りが可能になったと言うニュースがあった。それまで人に近い“歩き”は可能だったわけで、何をもって“走り”と“歩き”を区別しているかお分かりだろうか。それは両足とも地面から離れている瞬間が有るか無いかの違いだ。これはいろいろな分野でも目安となっているようだ。






ところがアニメでよくある走りの表現として、“中2枚”の走りでは空中ポーズを入れない(入れられない)事が多く、それが慣例となっている。3コマ撮りではそのタイミングが気持ちよく見えるからと言う事だと思う。それでも最近は“中3枚”で描く場合も多いので双方の作例を挙げておく。作例は原画は共通、中割は個別に作成。
※注:ループアニメの再生スピードは個別に設定してあるが、PCの性能や環境に影響されるので参考程度に。
走りCG

中2枚(全6枚)の走り
中2枚(全6枚)の走り。クリックで連番画像表示

中3枚(全8枚)の走り
中3枚(全8枚)の走りクリックで連番画像表示

基本は“歩き”の応用
基本的な作業の手順は“歩き”と同様。違いは体が一番高い位置のポーズの描き方。いろいろな考え方があるようだが管理人のやり方としては一番高い位置では手の振り幅・高さとも最大になる、と言うもの。要するに原画よりも大振りなポーズを描くこと。かなり気持ちのいい動きになる。
“中2枚の走り”の例
上項目の“中2枚の走り”の例

上下動に合わせて…
“歩き”よりも上下動が激しい分、風になびくパーツ、例えば長い髪とかゆったり目の服とかひらひらの装飾などがある場合は上下動に合わせて動かす(なびかせる)と生き生きと見える。
上下動に伴う動きの表現

腕の振り方=軌道の問題
初心者が陥りやすい問題として、単なる“中割”をしてしまい、本来の軌道を見逃してしまう事がある。特に軌道が見えづらい角度の原画は注意が必要だ
正面向きの走りは、そんな注意すべき原画の一つだ。普段見ているアニメでもかなりの頻度で微妙な動画を見かける。
実際にプロのアニメーターが描いた動画を再現した作例を挙げておく。

中2枚の走りの動画だが、右の画像をクリックして再現アニメを見ていただきたい。どう感じたろうか?



その動画を上下動を無くして重ね、左拳(オレンジ)と肘(グリーン)の位置をマーキングしたのが右の図。左腕の軌道が良くわかると思う。











次に横向きに変換して中割をしてみる。













左腕は普通に割るととこんな感じ→













正面の中割と突き合わせてみる。
なぜか、拳の高さも肘の高さもズレている。特に3の動画のズレが大きい。
このまま横向きに直したら、高さだけでなく前後の位置もかなりおかしな事になっているはずだ。

要するに実際の軌道を考えず、原画のシルエット(形)の変化のみの中割をしているので、動きがおかしいことになっているのだ。




そこで横向きの動画に合わせて腕の動きを修正。











動画を重ねて軌道を確認してみる。
ループアニメも作ってみたので右の画像をクリックして確認してほしい。
かなり印象が変わったと思うがいかがだろうか?
それなりに理にかなっている感じではある。
要するに中割は他の方向から見た場合も意識して描くことが必要になる。

と、ここまでは通常の動画の注意事項で、実際のアニメでもここまでで済ませているものも少なくない。
ただ、本来ここで説明したいのは“走り”の動画だ。


上の項にも書いたが、一番高さのあるポーズの時には腕の位置・高さを原画よりも大きく描く事で、より生き生きとした動きを作ることが出来る。
右の絵は“3”にあたる動画だが、拳・肘の高さとも原画よりも高くなっているのがお分かりだろう。腕に合わせて体の向きも若干調整してやるとなお良い。
右の画像をクリックすると、完成したループアニメを表示するので比べて見てほしい。

また各々の動きを比較できるループアニメも作成したので参考にどうぞ。肘の軌道の違いに注目して見て欲しい。

ちょっとくどかったかな…?
再現アニメ
実際の動画を再現。クリックで表示
説明がややこしいので、シンプルなモデルで作成。決して手抜きでは…無い

再現アニメの解説図

横向きへ変換

横向きの腕の動きの軌道

中割比較

中割調整

調整後の腕の軌道
クリックで動画表示



原画よりもポーズを大きめに
クリックで動画表示

いろいろな角度の走り動画
走りの参考CG動画。
歩きと同様、POSERさんとこのTeraiさんにモデルを務めてもらった。中3枚(全8枚)パターンで作成。それぞれの画像をクリックすると連番画像表示。
※注:ループアニメの再生スピードは参考にならないので注意の事。
走り参考CG・横
・横

走り参考CG・前
・前

走り参考CG・後ろ
・後ろ

走り参考CG・斜め前
・斜め前

走り参考CG・斜め後ろ
・斜め後ろ