初心者が陥りやすい問題として、単なる“中割”をしてしまい、本来の軌道を見逃してしまう事がある。特に軌道が見えづらい角度の原画は注意が必要だ
正面向きの走りは、そんな注意すべき原画の一つだ。普段見ているアニメでもかなりの頻度で微妙な動画を見かける。
実際にプロのアニメーターが描いた動画を再現した作例を挙げておく。
中2枚の走りの動画だが、右の画像をクリックして再現アニメを見ていただきたい。どう感じたろうか?
その動画を上下動を無くして重ね、左拳(オレンジ)と肘(グリーン)の位置をマーキングしたのが右の図。左腕の軌道が良くわかると思う。
次に横向きに変換して中割をしてみる。
左腕は普通に割るととこんな感じ→
正面の中割と突き合わせてみる。
なぜか、拳の高さも肘の高さもズレている。特に3の動画のズレが大きい。
このまま横向きに直したら、高さだけでなく前後の位置もかなりおかしな事になっているはずだ。
要するに実際の軌道を考えず、原画のシルエット(形)の変化のみの中割をしているので、動きがおかしいことになっているのだ。
そこで横向きの動画に合わせて腕の動きを修正。
動画を重ねて軌道を確認してみる。
ループアニメも作ってみたので右の画像をクリックして確認してほしい。
かなり印象が変わったと思うがいかがだろうか?
それなりに理にかなっている感じではある。
要するに中割は他の方向から見た場合も意識して描くことが必要になる。
と、ここまでは通常の動画の注意事項で、実際のアニメでもここまでで済ませているものも少なくない。
ただ、本来ここで説明したいのは“走り”の動画だ。
上の項にも書いたが、一番高さのあるポーズの時には腕の位置・高さを原画よりも大きく描く事で、より生き生きとした動きを作ることが出来る。
右の絵は“3”にあたる動画だが、拳・肘の高さとも原画よりも高くなっているのがお分かりだろう。腕に合わせて体の向きも若干調整してやるとなお良い。
右の画像をクリックすると、完成したループアニメを表示するので比べて見てほしい。
また各々の動きを比較できるループアニメも作成したので参考にどうぞ。肘の軌道の違いに注目して見て欲しい。
ちょっとくどかったかな…?
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実際の動画を再現。クリックで表示
説明がややこしいので、シンプルなモデルで作成。決して手抜きでは…無い
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